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”多聞言葉”シリーズ(コハ‐22)

完璧

 大辞林によると、「“完璧”(中国の故事。「璧」は宝玉。きずのない玉の意から)とは欠点や不足がなく、非常に立派なこと(さま)をいう」とある。

 「“完璧”だ!これじゃ、文句をつけようがない・・・」 そんな誉め言葉を頂戴した経験がないだろうか・・・。しかも、仕事に手厳しく、滅多に誉めてくれない人から「完璧だ!文句をつけようがないよ」と評価されるような仕事ぶり・・・。

 お客様からの苦情の相談を受けたとき、ふと頭に浮かんだのが“完璧”という言葉だ。そう、“完璧”であれば、誰からも文句をいわれる筋合いはないはずである。だとすれば、苦情を言われるということは、“完璧”なサービスではなかったという証ではないかと考えるべきだろう。

 そう捉えるほうが苦情を自分の課題として受け止めることができるので、自らの反省材料となり、向上心に火をつけることができる。“完璧”を目指す第一歩が始まるのだと思う。

 そんなことを考えていると、以前に読んだ『ビジョナリーカンパニー?飛躍の法則』の書き出しの一行を思い出した。

 「良好(Good)は偉大(Great)の敵である」 つまり、「偉大な企業がめったにないのはまさに、ほとんどの企業がそこそこ良い企業になるからだ。ここに、大部分の企業の問題がある」という。

 及第点で甘んじてしまい、満点(=“完璧”)を目指そうという考えが、残念ながら欠落しているのである。

 仕事とは、世のため人のために仕えるという意味である。自らの仕事を天職だと思えて、その目的を深く信じているのであれば、“完璧”を追求することは当然のことだと思えるであろう。

 小生は、“完璧”の拠り所として『ドラッカーの5つの質問』をつねに大事にしている。

 ?われわれのミッションは何か? ?われわれの顧客は誰か? ?顧客にとっての価値は何か? ?われわれにとっての成果は何か? ?われわれの計画は何か?

 ドラッカー曰く、「何事も満足することなく、すべてを見直していかなければならない。だが最も見直しが求められるのは、成功しているときである。下向きに転じてからでは遅い」

 “完璧”とは、テクニックの良し悪しではない。価値観、ものの考え方のレベルなのである。真摯さをモットーに、「真・善・美」を追求し、仕事の質を高めていくことを心がけていきたいと考える。

(H27.6.15)