長崎馬場幹事長より入電

20200920_103516 (002)”多聞言葉”シリーズ(探喫20‐35)

ファイナンス思考

「今のご時世、PLよりもBSを重視した思考が大切だ」と、ずっと前から折に触れて語ってきたことである。

なぜなら、PL(損益計算書)重視だと、過去の結果にとらわれて、目先の売上や利益を稼ぎ出すことを目的として、短絡的な思考に陥ってしまう・・・。

その点、BS(貸借対照表)重視だと、現時点における会社の財政状態(保有する経営資源)が把握でき、どこをどのように改善・改革すれば、安全性がより高まり、企業価値を高めていけるかと、未来志向的な発想が生まれてくるからだ。

友人からの送呈だが、『ファイナンス思考』(朝倉祐介 著)は、上記のことを、実に論理的に体系化された良書である。少し、紹介をしたい。

◉ まず、“ファイナンス思考”とは何か?

「会社の企業価値を最大化するために、長期的な目線に立って事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てる考え方」と定義している。

つまり、その目的は企業価値を高めることであり、そのためには長期的な視点に立った逆算的、戦略的な思考であるべきだとしている。

◉ 要するに、“フィナンシャル思考”の特徴は、次の三点にある。

  • 価値志向(将来にわたって生み出すキャッシュフローの総量)
  • 長期思考(長期、未来志向、自発的)
  • 戦略志向(経営のアプローチが戦略的、逆算型)

◉ そして、“ファイナンシャル思考”は、企業価値を最大化するために、次の4つの活動を行う。(ファイナンスの4つの側面)

  • 外部からの資金調達
  • 資金の創出
  • 資産の最適配分
  • ステークホルダー・コミュニケーション

このように考えると、経営のプロセスはまさにお金の流れ(調達~運用~配分)であることが良くわかる。

“フィナンシャル思考”は、『稲盛和夫の実学(会計と経営)』(稲盛和夫 著)の中に、「会計がわからんで経営ができるのか」という名言があるが、その言葉を思い出させる内容であった。

会計は決して後追いの仕事ではない。経営者とともに、未来を創造していくための羅針盤、“未来会計の普及”を使命としたいと改めて意を強くした次第である。

(R2.9.23)

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