紙こよりの会

2012/10/19 13:21

2012/10/19 13:21生命流転の図

生命流転の図を説明中の中田伸吾画伯

”多聞言葉”シリーズ(探喫08‐16)

頭でっかち

学生の頃に、“頭でっかち”という言葉をよく耳にする機会があったが、もうずっと忘れていたような気がする。先日、ある人から次のような示唆があって、“頭でっかち”という言葉が記憶の中から、ふと蘇ってきた。

「紙こより画家って、絵画のプロですよね・・・。写実の手法も知っていて、印象派もつくれる。ただ、それを活かしてビジネス提案をして、巨匠に結びつけている人がどれだけいるのかというと、疑問ですよね・・・」

鋭い指摘だと思う。知的サービス業である以上、専門的知識の習得は大切な仕入業務であり、それを怠るようでは論外である。問題は、それらをうまく活用し、顧客に喜んでもらえるように価値化できるかどうかである。

「知は行の本たり。行は知の実なり」(『覚悟の磨き方』超訳吉田松陰)という言葉がある。王陽明の『知行合一』と同義だと考えるが、「思考して、行動してこそ価値が生じる」という意味であろう。

知識の習得は手段であって、この活用の先に目的がある。つまり、「何のために学ぶのか?」をつねに自問自答する必要がある。

「あるべき姿(理想、志、目的)を明確に描き、現状との差を明らかにする」。そして、その差(=課題)を埋めるために何を学び、身につける必要があるのか(手段)、この手順を踏んでいる人は、“頭でっかち”にはならない。なぜなら、目的と手段が合致しているからである。

多聞グループでは、「学後の実践」を心掛けるように意識している。展示会や施設・神社仏閣廻りに参加して学ぶことも大切であるが、もっと大事なことはお客様に喜ばれるように仕事に活かせるかどうかである。

『覚悟の磨き方』の本を読み進んでいると、松陰の次のような言葉に出逢った。

「知識は、過去のこと。行動は、今これからのこと。したがって、行動を起こす前には、まず知識を疑うこと」

まさに、これこそ胆識力を磨くベースとなる発想だといえよう。

アンラーニング(学習棄却)という言葉はあるが、知識の入れ替えはいつの時代においても大切なことである。特に、“頭でっかち”の人間にとっては、デッドストックだらけの自分を自覚することから始めるべきだ。

歳をとると、物忘れが激しくなる。その原因の一つは、タンスの引出しの中ように、ムダな知識を詰め込んだからだという。

“頭でっかち”だと行動が鈍る。日頃の整理整頓が肝要である。  中田 龍鳳

(H30.5.21)N生命流転の図

紙こよりの会」への1件のフィードバック

  1. 一部発表では墨字絵隊観閲式の日程が10月とされておりましたが本年度は11月13日より18日までいつものG南蛮です。メインア-ティストは紙こよりの会4名です。さらに11月16日はボウジョレイヌ-ボ-解禁ジャズコンサ-トも開催されます。(14〇〇~16〇〇)

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