情熱とはなんだ!

”多聞言葉”シリーズ(クハ‐17)

情熱

 日曜美術館(NHK Eテレ番組)で、明治維新による環境の激変で、職を奪われた職人たち(甲冑・刀装の金工師や和装の刺繍師など)が海外へ活路を見出すためにつくった細密工芸の品々を紹介していた。

 そのほとんどが無名の匠の作品であったというが、緻密で繊細、超越技巧の品々は欧米人を驚かせたという。匠の技も然ることながら、一品一品にかける手間暇のかけ方が尋常でないのだ。もう、採算を度外視した職人の意地というか、自分らが培ってきた技・仕事に対する熱意、“情熱”なんだろう。

 今では再現不可能だといわれる作品の数々。何がそこまで彼らの気持ちを駆り立てたのか・・・。時代の息吹という後押しもあったと思うが、彼らの職人気質がその存在を否定されようとした時、その危機意識が“情熱”と化したのであろう。

 “情熱”とは、熱い心のことである。一流といわれる人たちはすべて、自分の仕事の対して熱い心を持っている。いわゆる、“情熱家”なのだ。

 では、“情熱”に満ちたモチベーションはどこから溢れ出てくるのであろうか?

 その源泉として絶対に外せないのは、その人の持つ使命観であろう。「何のためのこの仕事をしているのか?」という目的意識のことであるが、それが明確である人にはブレがない。常に、内に秘めたモチベーションからやる気が出ており、仕事に対してひたむきで、持続力がある。

 次に思いつくのは、自分の仕事が好きであること。「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるが、人間好きな事には、夢中になれるものだ。一流の人は楽しみながら大いに学び、働くので、結果として成功している。つまり、好きだからこそ楽しめて成功しているのである。

 もう一つ挙げるとすれば、試練と戦う勇気だろうか。「現状のままでは、将来はない!」という危機意識が情熱と化す。しかし、変化への挑戦には必ずリスクが伴う。心の中の疑惑や恐怖、心配に立ち向かって、乗り越えるためには勇気がいる。どんなに苦しくても成し遂げようと心を奮い立たせる勇気が必要だ。命を賭けてでも成し遂げたい理由を知っているのだ。

 それらを総称して、“情熱”の発露と表現しているのであろう・・・・・。

 “情熱”に満ち溢れた人は、いっさいの手抜きがない。つねに最高の仕事をしようと最善を尽くしている。つねに切迫感を持ち、大切なことを先延ばしにするようなことがない。そして、現状に甘んじるようなことは決してしない。

 仕事に対する“情熱”は、その人に充実した人生をプレゼントしてくれる。

(H26.5.12)